わたしとあなたのありのまま
 田所は、寝室のコーナーボード上に設置してあるステレオのスイッチを押し、ボリュームを不必要なほど上げた。

 そうして、ベッド側面に背中を預けて床に座り、膝を抱えてうずくまる。
 視線を足元に落とすと、田所は動かなくなった。


 いつものことだけれど、田所が何を考えているのかさっぱりわからない。

 ダイニングテーブルに無造作に置かれた、スーパー●ップくんの入ったレジ袋が目に留まり、

「アイスとけるよ」

 と声を掛けてみた。

「ん」

 田所はどうでもよさそうに返事をする。


「あと音楽、
 ちょっと爆音過ぎない?
 近所迷惑だよ」

 言うと、ようやく田所はこちらに視線を寄越し、

「こうすればゆきさん、
 俺がお前とやってるって思うだろ?」

 と泣きそうな顔で笑った。


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