わたしとあなたのありのまま
窓越しに教室内へ視線をやれば、綾子が山田たちを追い回していた。


山田たちなんか放っといて、さっさと掃除終わらせればいいのに。わたくし、早く帰りたいんですけど。



フン、とため息のような空気を漏らしつつ、再び携帯に目をやると、すぐ真下、校舎前をイチャつきながら歩く、一組のカップルが視界に入った。なんとなく視線がそちらにいく。


あっ。

あれは、先日バイト先に突如現れた、超美形男子。


思わず見とれていると、綾子から逃げるようにベランダへ飛び出して来た山田に、背後から激突された。その衝撃で、ポロリと私の手から携帯はこぼれ落ちた。



「あー!」


私が張り上げた大声に、彼とその彼女が同時にこちらを見上げる。彼は、右斜め前方へ腕を伸ばし、難なく私の携帯を受け止めた。


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