わたしとあなたのありのまま
「だよね、ゴメン」

「なんなんだよ!?」

 山田は困ったように苦笑する。


 全部、ここで吐き出してしまえば、楽になれるだろうか。
 わからないけれど、やってみる価値はあるような、ないような……

 結局、明確な答えを出せないまま、私は昨日の出来事を山田に話した。


「田所、好きな人がいたのか」

 山田が残念そうに呟いた。
 何故山田が……?
 山田も田所のことが好きなんだろうか?

 想像したら、ちょっと気持ち悪くなった。
 なのでそこはスルー。


「不誠実だよね!?」

 私は同意を求める言い方をした。
 山田はまた困ったように笑い、

「同じ男としてアイツを庇うとか、そんなんじゃないけど……」

 そこまで言って、言い辛そうに口籠る。


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