わたしとあなたのありのまま
「なに?
 もう、この際だから、山田も全部ぶちまけなよ」

 本当はぶちまけて欲しいんです。
 意地っ張りな私の、精一杯の誘導尋問(のつもり)。


「だな」

 と山田は笑う。
 山田もゆきさんみたいな優しい笑い方をするんだなぁ、と思った。


「アイツの彼女……エリカ先輩な、
 すげぇしつこかったんだよ」

「どういうこと?」

 意味がよくわからなくて、ジッと山田を見詰めた。


「田所は何度も断ったんだ。
 『今彼女とかいらないから』って、何度も何度も。

 それでも彼女、諦められなかったみたいでさぁ。
 休み時間に教室来るわ、帰り待ち伏せするわ……

 挙げ句の果ては、泣き脅し」

 言いながらその時のことを思い出しているのか、山田は微かに眉根を寄せた。


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