わたしとあなたのありのまま
「だから、田所は悪くない?」

「……と俺は思うんですけど、
 秋山さんはどうでしょう?」

 自信なさそうにおどおどしながら言う。


「わからない」

 そう答えるしかなかった。

「相手が承諾してるなら、身体目的で付き合ってもいいのかなぁ。

 それって、彼女に対しても酷いけど……
 自分のことも大事にしてないような気がする」

 そう続けると、山田は驚いたような顔をして、私を真っ直ぐ見詰めた。


「もう、何が何だか……
 わからないや」

 そう言って、再び窓の外に目をやった。

 投げ遣りな気持になった。
 悲しさよりも虚しさの方が大きくて。

 完全に迷子になってしまったみたい。
 もう、どうしたらいいかわからない。


< 85 / 318 >

この作品をシェア

pagetop