わたしとあなたのありのまま


「はぁ、すっきりした」

 先に手を洗い終えた綾子が、すがすがしい笑顔を見せてそう言った。


 休み時間の女子トイレ。
 男子禁制のそこは、いわば無法地帯。

 どんなオゲレツ発言も許されてしまう。


 遅れて手を洗いながら、そんな綾子に苦笑した。


 蛇口を捻って水を止め、視線を上げて正面の壁に張り付いている鏡を見た。

 私の背後に誰かが立っている。
 鏡の中のその人は、私をジッと見詰めていた。

 反射的に振り返る。


 エリカ先輩だった。


「秋山さん、
 あなたに聞きたいことがある」

 無表情のまま、エリカ先輩は言った。


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