わたしとあなたのありのまま
ちょっと怒っている?
無表情な顔からはどちらとも判断がつかない。
まぁ、無視しようとした私たちも悪いのだけれど。
綾子はエリカ先輩に、ほんの一瞬刺すような視線をやるも、すぐにプイと向きを変え、私を置いて一人でトイレを出て行ってしまった。
「綾子!」
取り残された私は慌てて叫んだけれど、綾子は引き返してくれなかった。
酷いな。
エリカ先輩のことを良く思っていないのだろうか?
田所と二人、セットで嫌っているのかな。
理由は不明だけれど。
いつの間にか、私の隣で鏡に向かってしきりに栗色の髪をいじっていた隣のクラスの女子も、その友達も居なくなっていた。
トイレには、私とエリカ先輩二人きり。