わたしとあなたのありのまま
私たちは見詰め合ったまま、その場に立ち尽くしていた。
私を引き留めておいて、どうしてエリカ先輩は何も言わないのだろう?
このまま沈黙が続いたら、耐えられそうにない。
だから、仕方なく私から切り出した。
「聞きたいことって何ですか?」
エリカ先輩は、ようやくその顔に感情を露わにした。
とても悲しそうに、その綺麗な顔を歪めた。
「悠斗のこと、好きなの?」
私を真っ直ぐ見据え、静かな落ち着いた声で問う。
怒ってはいなかった。
エリカ先輩は悲しいのだ。
「はい」
答えると、エリカ先輩は目を見開いた。
エリカ先輩の瞳がふるふると揺れ、綺麗な雫を湛えた。
けれども私は、これが山田が言っていた『泣き脅し』か、と冷めた気持ちになった。
そんな姿を見たって、私の中に同情など生まれない。
無駄だよ。