わたしとあなたのありのまま
 随分な言われ様だ。
 なんだか、とてつもなく腹が立ってきた。


「渡すとか、渡さないとか……
 田所はモノじゃないんだし。

 だいたいそんなこと、
 私たち二人で話し合って決めることじゃない」

 頭の中が真っ白になってしまって、
 どうにも止められなくなった。


「選ぶのは田所ですから」


 エリカ先輩は、泣き濡れた顔に、フッと嘲笑を浮かべた。
 そのミスマッチに、寒気を覚えた。


「悠斗の彼女は私なのよ?

 どうして私が、
 わざわざ悠斗に選ばれなきゃならないの?」

 言って勝ち誇ったように微笑んだ。


「だったら……
 わざわざ2年のトイレまで来て、『悠斗に近付かないで』とか言う必要ないんじゃないですか?

 田所の彼女はあなたなんだし?」

 そう言い返したら、エリカ先輩は右手を振り上げた。


 殴られる、と思った。


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