たった一人…。
「柿田…」
彼の吐息が耳にかかり、
私の身体がビクッと反応する。
速くなる鼓動。
小さく震える身体…。
「豊広さん…」
私の吐息が彼の身体の神経を敏感にさせる。
彼は私の身体の隅々に愛撫し、肌を重ねる。
彼の体温も鼓動も伝わってくる。
少し怖かった私の気持ちを察してか、とても優しく私を扱ってくれる…。
全てを包み込んでくれる…。
そして、
初めて、一つになった…。
初めて、彼と繋がった…。
彼の胸元で息を落ち着かせる。
彼のタバコを吸って、同じ香りに包まれる…
こんな事が、こんなに幸せだと思えるなんて初めてだった。
彼はこんなに歳が上なのに、親子に近い位離れてるのに…。
こんなに愛らしいと思うなんて…。
ずっとこうして居たい。
でも、そんな幸せな時間も気づけばいつの間にか夕方…
「連れて帰らなきゃな。」
少し重くだるい身体を起こし、ベッドから出て身支度を整える。
まだ乾ききってない服だけど、それが今日起こった事の証。
少し湿ってる服をちょっとだけ嬉しく感じた。
でも、私の気持ちとはうらはらに彼の表情は何だか真剣で。
帰りの車内はなぜか静かだった。