たった一人…。


部屋に入った私は携帯を握り、悩んでいた。

メールをしようか…。どうしようか…。



悩んだあげく、結局彼にはメールはせずに友達の香理に電話をした。



「あのさ、ちょっと相談があるんだけど。これから会える?」


香理と近くのファミレスで待ち合わせ。


「奈央、急に何よ(笑)」

「ごめん、ごめん。あのさ、豊広さん居るやん?あの人ってどんな感じ?」


香理は同じ会社に勤める。私よりも勤務は先輩。何も分からない私に仕事を教えてくれたり、とても私に優しくしてくれて、今ではとても仲良し。


「豊広さん?うーん、あんまり聞いた事がないかな。あの人、すっごい仕事人間で妥協が無いみたいだし?私は直接仕事を一緒にした事は無いから本当のところは分かんないけど。でも、会社から凄い信用があるみたいよ。あの人の事を頼る人はたくさん居るんじゃないかな?」



そっか…。
仕事人間か…。妥協が無いか…。



でも、それってきっと会社の中での立場があるから仕方無いキャラなんだよね…。
私が見たあの顔がきっと素の彼…。
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