たった一人…。
「あの…」
少し緊張しながらコーヒーを手渡す。
そして、彼の横でタバコに火をつける。
「おまえ、自分とこの状態わかってるか?」
「はい…委託が数人辞め、カバーしきれなくなってて、改善も出来てません。」
「他の人間は?」
「それぞれの業務が多いから協力的ではないし、まともに聞いてはくれません。今は私達3人が2時間ずつ残業して数を増やしてますが…」
「いいか。今日から1週間で営業所内の残りをなくす。」
それからずっと無言のまま、配達の準備をする。
順にバイク組が出ていき、私も車に乗り後に続く。
3時間ほど経って営業所へ戻ると、すぐ彼の車も戻ってきた。
けれど、特に会話もなく淡々と仕事をこなしていく。
そんな日が5日続いた…。
もう体は限界だった。
「おはようさん。」
少し笑顔の彼に久しぶりに会った。
「柿田、コーヒー。」
いつものように、コーヒーを買って2階へ。
「これ、見てみろよ。」
そこには、ここ数日間のデータがあった。
遅れたものを完了すれば、品質ががくっと下がる。でも、そこから少し品質が上がってきている。
それは、状態が良くなってきたという証拠。
「これ…」
「あぁ、皆すげ~よ。」