たった一人…。



私の頭にポンポンと手を乗せる。久しぶりに甘えた気がした。



『今日1日で残り片付けるぞ』と、コーヒーを飲みほし支度をする。



『終わったらデートしよう』

今日の私は、いつもの3倍は頑張ったと思う。
慣れない所の配達も、ロスが少ない。




3回目の配達が終わり、営業所へ戻った。
そこには、キレイに片付いた作業場があった。



他の人達はもう帰っていて、私は最後だった。肩を落とし、体中に疲れを感じた。コーヒーを買う為に自販機へ行くと、そこには彼の姿が…。




「お疲れさん」


真っ暗な中で自販機の電灯に彼がより眩しく映る。



「あ、お疲れさまです。」


彼の姿を見たとたん、余計に体の力が抜けて涙まで出てきた。



「よく頑張ったな」

彼の言葉がいつもの数倍温かかった。




「今日、大丈夫なのか?」



「はい…」



これはデートの誘い。しかも、初のお泊まり…。






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