たった一人…。


ずっとずっと、彼は一晩中私を求めた。


何度も何度も…。


お酒の香りに私も少し酔い気味で、余計に彼が欲しくなる。






いつのまにか、外はもう日が昇ろうとしていた。


私は彼が寝てるのを確認し、ベッドから出た。


全身が痛い…。

でも、これは幸せな痛み…。



それから、朝食作りをした。


7時……。


「起きて。朝ご飯出来てるよ」



彼に声をかけ、私は洗面台にたった。


そこで鏡に映った自分の姿を、思わず二度見した。そこには、無数の証しが散らばった自分の姿。


それを一生懸命メイクで隠す私の背後に彼の気配。



「何してんの?」



真っ赤になりながら彼の方へ向くと、そこには同じように証しが無数についた彼の姿。



「お互いさま」


と、おでこをつつかれる。



最近はお互いが求め合ってるのがすごく多く感じる。

言葉を交わさなくても、自然と唇を合わせ、そして抱き合う。



「ご飯が冷めちゃう」


なんて白々しく言ってみたりしながらも、体は嘘がつけない。



遠慮なく私の背後から中へどんどん入ってくる彼が愛しい。


ずっと、彼と繋がっていたい…




そして、彼は私の中にまた足跡を残す…。



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