たった一人…。



それから2人でご飯を食べ、仕事に出かけた。


私は、少しずつ彼の部屋へ泊まる事が多くなっていった。




年がかわり、もうすぐ私の誕生日。誕生日のお祝いは2人で過ごしたいだから、仕事を気合い入れて片付けていく。

彼もそれを楽しみにしてくれていた。


ふぅ。。。

疲れてるのかな、私…。




…………んっ!!




立ち上がった瞬間、お腹に激痛が走り、そのまま倒れ込んでしまった。





………………。





「先生からの説明は1人で聞かれますか?」


点滴を受け意識朦朧とする中で、看護婦が誰かに話している。




……ここは、病院?




「はい、僕が聞きます。」
と、彼の声が聞こえる。




「今、とても大事な時期なんですよ。もう少しで赤ちゃんが窒息するとこだった。1人の体じゃないんだから、気をつけてあげてくださいね。」




赤ちゃん………?



彼に繋がれた手に力が入る。



「ん?大丈夫か?」

平然を装い、彼が私に話しかけてくる。

「うん、ごめんね。」




点滴の処置も終わり、車へ乗り込む。

しかし、会話はないまま…。


帰り際に先生から、
「今後をどうするか、ちゃんと考えて答えを出して下さいね。」
って、言われた。

何度もその言葉が頭の中でこだまする。



「ごめんなさい、私…。全然気付かなくて。」

でも、彼は答えてはくれない。

真剣な顔をして、前を向いたまま運転をする。



「私は…どうすればいい?」

やっぱり彼から返事はなかった。

私はそれが彼の返事なのだと思った…




家に帰り、部屋に戻った私は、病院でもらったエコー写真を見つめ手をお腹にあててみる。


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