たった一人…。
「本当に、ここに居るんだな…。」
真剣な表情だった。
でも、とても優しい顔…
「昨日はごめん。頭が混乱して、返す言葉が見つからなかった。俺は、前に子供を殺してるんだ。まだこの世に産まれてもない子供を。でも、上手く言えないけど、おまえが妊娠して嬉しかったんだ。」
嬉しい……
嬉しいって言ってくれた。
その言葉を聞いた途端、不安が安心に変わり涙が出てきた。
お腹に触れてる彼の体温が伝わってくる。
温かい…。
「今の俺は責任なんて取れる立場じゃないけど、ちゃんとけじめつけて責任とれるようにするから。」
「……だから、産んでほしい。」
何度、夢だと思っただろう。
昨日、あれだけ無理だと自分に言い聞かせたのに。
『無理』だという言葉を覚悟してたのに…。
にやけてる自分の顔がおかしくて仕方ない。