たった一人…。
私は彼の言葉を信じると決めた。
決して許される事じゃないと分かってても…
そうしたかった。
その日から、彼の態度や行動が変わった。
私の為なのか、仕事の為なのか、求人を出し新しい人材を探し始めた。
私は配達よりも事務仕事が多くなった。
彼が膝掛けを用意してくれてるとこなんか愛情を感じる。
でも、愛情を感じる側で悲しむ人がいるのも事実。
営業所の中でも、豊広さんに好意をもつ女性はいる。
私は、そんな人達の中でほとんどの時間を過ごさなきゃいけない。
「ねぇ柿田さん。本当にいい度胸してるよね~。皆が自分の気持ちを隠しながら過ごしてるのに、あんただけズルい。ちょっとカワイイ顔してるからって、いい気にな
んないでよね。」
彼と付き合ってる事はまだバレてないみたい…。
私よりも5つ年上の原口さん。そして、野村さんに野田さん。
三人が私を睨み付ける。
私は、ただただ黙って耐えるしかなかった。
だって、私が幸せをもらってるのは事実だから。