たった一人…。



着替えを済ませた私は彼と一緒に案内されたベッドへ。





「最近、食事は?」


「つわりだと思うんですが食欲がなくて。
あんまり食べれてないです。」


「睡眠は?」

「それもあんまり…。横になると吐き気がするんです。」




「ちょっとこれを見て下さい。」


医者が指差した画面には、赤ちゃんの姿。


小さな体が時々脈をうつ。



「胎児に栄養が行き渡らず、衰弱しています。食事をしっかりとってあげて栄養管理をすれば、何も問題なく回復するかもしれないし、もしかすると胎児自身では無理かもしれません。」



えっ。
それって…。

手遅れ…ってこと?

二人の赤ちゃんが死んじゃう…。



『死んじゃう』

その言葉が頭の中で木霊する。




私の隣で、繋がれた彼の手は震えていた。

そして、力強く握りしめる。

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