たった一人…。



「入院して、点滴とかして…。どうにか助けてください。」



医者は黙ったままだった。



そして…

「…まだ、亡くなったわけじゃありません。
今出来る最善を尽くしましょう。食事がとれないようなら入院も考えてみるのも良いし、頑張って食べるようにするのもベストだと思います。
とにかく、栄養価の高いものを食べれるだけ食べるようにして下さい。少しずつでも良いですから、回数を増やして頑張りましょう。
そして、必ず通院をする事。何か変化があれば、すぐに連絡を下さい。」



私は声を出す事も出来ず、下を向いたまま頷いた。
涙が頬をつたい、落ちていく。





病院をあとにした私達は、海辺に車を停めた。




「おまえだけを責めるつもりはない。俺ももう少し見てやるべきだった。だけど…」


彼は下を向いたまま、言葉をとめた。



「ごめんなさい。ごめんなさい。」


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