たった一人…。



あれから、体調は安定していた…

頑張って食事もとるようにしてたし、なるべくデスクワークするように心がけてた。




安定しているように思ってた…

私も、彼も…。






今日は病院に行く日。

前から予約していた定期検診。

特別、変わりがなければ今日行くようになっていた。





彼も一緒に病室に入り、私は診察台へあがる。




ほんの数分間がとても長く感じた。








「はい、お疲れさまでした。着替えを済ませたらこちらへどうぞ。」






「残念ですが、完全に胎児の心拍がありません。すでに時間が経ってると思われますので、これから処置をします。時間は一時間ほどで済みますが、体調をみながら少し休まれてから帰られて結構ですので。」



医者からの説明はあまりにも淡々としたものだった。



二人とも声が出ない。




彼は肩を震わせ、下を向いてこぶしを握りしめていた。




そのまま私は処置室に移動させられ…処置。


処置。
あまりにも業務的な言葉で、そこには、感情なんてものは全くなかった。



泣きながらベッドにあがった私は、数分後意識がなくなった…



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