たった一人…。
それから、数時間経って私は目を覚ました。
手首の傷と流れた血、そして下腹部の鈍い痛み…。
現実だと知らされる。
私、生きてたんだ…。
死ねなかったんだ…。
私はハンカチで傷口を隠すように巻き、車を走らせた。
途中ドラッグストアに寄り、消毒液とガーゼ、テープと包帯を買った。
車の中で消毒を済ませた私は携帯を取り出して驚いた。
着信…13件。
メール受信…20件。
すべて彼からだった。
『さっきは黙ったままでごめん。』
『どうして電話に出ない?』
『お願い、電話に出て。』
『俺の事、嫌いになった?』
『話したい。』
『今はどこに居る?』
『会いたい』
『別れたいのか?』
『これが、おまえの答えか?』
『もうわかった…別れよう。』
『俺はおまえが幸せならそれでいいから。』
最後のメール。
『俺はおまえが全てだった。自分でもおかしい位、おまえを必要としてた。だけど、おまえはまだ若い。これからだってある。俺は俺なりに、おまえと幸せな時間を過ごさせてもらった。おまえのこれからの人生の為にも、おまえの前から姿を消すよ。しばらくはお互いに辛いだろうけど、前向いて生きよう。おまえは、最高の女だったよ。』