たった一人…。
「おまえだけのせいじゃない。俺もいけなかったんだ。もっとおまえの気持ちを分かってやれば良かった…。」
彼は握った私の手を離し、別の部屋に行った。
少し経っても戻らない彼を部屋に探しに行った。すると…。
カッターを手に持ち、手首から血を流し、ベッドに座っている彼が…。
「赤ちゃんの痛みはおまえだけじゃなく、俺も分かってやらなきゃ。」
私はさっき買った消毒とガーゼをカバンから取りだし、彼の手首を手当てした。そして、包帯を巻く。
「俺たちの子供は許してくれるかな…。」
そう言って、私の手を強く握りしめる。
そのまま私は彼の部屋に泊まり、朝を迎えた。