たった一人…。
大山…。
今まで私の横に乗っていた上司。
すごく頼れると信じてた上司。
せっかく、彼の事が頭から離れてる時間も少なくなった頃なのに…。
仕事に没頭したかったのに。
全部、上司のしわざ…。
何で、私なの…。
ギシギシと揺れ、音をたてる車。
私の記憶はここで途絶えた…。
…………。
どうやら、私は荷物と共に車から捨てられたらしい。
ココは…どこだろう。
着ていたスーツは破れ、靴も片方がなかった…。
私は投げ捨てられていたカバンから携帯を取り出した。
誰か連絡しなきゃ…。
でも、今の私に連絡出来る人なんて居なかった…。
履歴に残るたくさんの『秀人』の名前。
通話ボタンが押せず携帯を握りしめたまま、時間だけが過ぎていく。
周りに人の姿はない。
ボロボロになった服…。全身に痛みが走る。
と、同時に今まで起こった出来事があたまの中でフラッシュバックする…。
体が震え、涙が止まらなく出る。