たった一人…。
「秀…。秀…。」
携帯を握る手に力がはいる。
あれ、ここ…。
改めて周りの景色をみると、以前彼と立ち寄った事のある場所に似てるような、似てないような…。
そういえば、あの時…。
彼との思い出が甦る。
彼の声がたまらなく聞きたくて、勇気を出し通話ボタンを押した…。
「ただいま電話に出る事ができません…」
私はメッセージは残さず、そのまま電話を切った…。
「バカだ、私。今さら、助けてもらおうなんて…。」
そう思った時、携帯が鳴った。
懐かしい曲が流れ、相手が彼だとすぐに分かった。
「もしもし…。」
自然と声が震えてしまう。
「久しぶり…。声が聞けて…電話くれて良かった…。」
久しぶりに聞く彼の声。
たまらず、大声で泣き出してしまった。
「秀…。助けて。私、怖い…。助けて。」
「どうしたんか!今、どこに居るんか!」
「私…。私…。」
泣くばかりの私に、彼は冷静に周囲の様子をたずねてくる。