たった一人…。

「あの…今日は?」



話しかけるのもドキドキする。


きっと、あの夢のせいだ…。



大丈夫、あれは違う。大丈夫、私。

そう言い聞かせながら、胸のドキドキを静めようと手をにぎりしめる。




「うーん、今日はご褒美。」




んっ?ご褒美…?

ご褒美って、何?
仕事を頑張ってるから?



意味がわからないまま車はどんどん走っていく。

車内は心地よい洋楽がドライブをより楽しくさせる…。


「あ、これ…」


聞き覚えのある曲。
あまり詳しくない私だけど、昔聞いた想い出の曲。

曲名、何だっけ?
誰が歌ってるんだっけ?



「なんだ?おまえ、洋楽好きなのか?」


「いえ…好きってほどじゃないんですけど、洋楽は想い出があるものが多くて。」




「俺と一緒だな。洋楽は感情のまま歌詞になって歌われてるのが多い気がして。俺は好きなんだ。」



何で、そういう顔するかな…。



私、この顔は弱いんだ…



ほら、寂しそうな表情をする。




「す……」



言いかけた言葉を飲み込む。



「す?」


「何でもないです!それより、何処に行くんですか?」



きっと、私の顔は真っ赤…。


この時、私は自分の気持ちに気付いた。



「海!すっげ好きな海があるんだ。」



『好き』の言葉に体が反応する…




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