たった一人…。
そっか…。
加奈さんが彼女だったって事は事実なんだ。
そういえば、前に彼女と別れた理由は子供の事だからって言ってたもんね…。
『どうして別れたの?』
『あぁ、あいつが一番つらい時に側に居てやれなかったから。』
『つらい時って…?』
『子供をな…。』
ゆっくりと二人に近づき、
「あの、これ…。」
「おぉ、サンキューな。」
「いえ、私仕事に戻りますので。加奈さん、お大事になさって下さいね。」
私は飲み物を2本渡すと、すぐ二人の側から離れ急いで車に乗り込んだ。
決して、彼に涙が見られないように。
その後、しばらくの間の記憶があまりない。
ふと我にかえると、車は海沿いに停めていて、左手にはカッターを持ち右手首から血が出てる。
あれ、腕からも出てる…。
無意識のうちにリストカットをしていた。
1、2、3、4…。
何回切ったんだろう。
私の体と心には、たくさんの傷が増えた…。