たった一人…。
勝手に涙が出てくる。とまって欲しいのに、どんどん出て来て服が濡れていく。
「あと…。俺は別れるとは一言も言った記憶は無いんだけど?」
そういうと、私の目の前にいる彼は両手を広げて笑顔で私を見つめる。
その胸の中に飛び込んだ。
涙も鼻水も、どうでもいいや。(笑)
「おかえり。」
私をぎゅっと抱き締める彼の力は強かった。
「ただいま。」
「私、本当に戻っても良いの?」
「迷惑かけちゃうよ?」
うん、うん、と頷きながら、
「分かってる。もう喋るな。」
しばらく、抱き合ったまま時間がとまった。
私は夢を見てるんだろうか。
「そうだ。加奈がおまえにって。」
1つの封筒を手渡された。