たった一人…。

結局、私達は恋人同士に今は戻らず、友達として、少しずつ同じ時間を一緒に過ごしながら、お互いの気持ちを改めて整理する事にした。

私がたどり着く答えは、

『恋人』なんだろうか…。

『上司』なんだろうか…。

『友達』なんだろうか…。



相変わらず、仕事場では昔と同じ。

公私混同をしないのがルールだった私達は、あまり違和感もなく普通に接する事が出来た。

時々、仕事の合間に一緒にお昼ご飯を食べるのが懐かしくて、ちょっと新鮮で。

『何、食べたい?』
『前に行ったあそこに行きたい!』

そんなやりとりをしながら、洋楽をBGMに車を走らせる。
夏の暑い日、こんな日は心地よい風の中のドライブでゆっくりと彼の横顔を見つめる。

この瞬間が私の幸せ。

やっぱりこの人の事を私は好きなんだ。

そう、改めて実感した。

でも、私は自分の気持ちを彼には伝えなかった。
私から言えば彼は必ず戻ってきてくれる。


だからこそ、私から言わない。そう決めたから。


もし彼が答えを出したら、その時はその答えを受け入れよう。

たとえ、それがどんな答えになったとしても…。
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