SUMMER TIME LOVE
未遂
あたし達は並んでナナの散歩をしている。
ナナってば本当に一ノ瀬君の事が好きみたい。
ちぎれちゃうくらいにしっぽ振って喜んでる。
「ナナって可愛いな」
一ノ瀬君も犬好きなのかな?
「でしょ♪これでももうおばあちゃんなんだよ?」
「マジ?そんな風には見えないな」
あたし達は近くの河原の土手に腰を下ろし、ナナがいっぱい飛んでいるトンボにじゃれているのを見ていた。
「夏…もう終わっちゃうな…」
一ノ瀬君は遠い目で寂しそうに言った。
「うん……何か寂しいね…」
夕焼けの空の下
しばらく会話もないまま川の流れを見ていた。