小春日和


「私さ、ずっと自殺しようと思ってたの」

「………え?」

思わず体の動きが全部止まる。

俺の動きに気づいていないのか、会えて気づいてないふりをしてか春はそのまま口を開いた。

「少し周りと変わってる性格の自分が大嫌いで」

「……うん」

「だんだん生きてる意味も分からなくなってきて」

「………うん」

「…リストカットも何回か、した」

「………………うん」


今さらながら俺は春に何かしてあげられたのかな、なんて思った。

そんなことで苦しんでたなんて知らなかったし
正直そんなことを思ったことがないから春の気持ちを分かることもできない。

ただ、大事な体に自分で傷をつけていたことが悲しかった。


「でもね」

少し明るさを含む声に俯いていた顔を上げ、春を見る。

春も俺を見ていたから、必然的に視線が重なる。


「健が私を好きでいてくれるから、生きるのが楽しいの」


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