これはあなたへのラブレター
そんなふわふわしたものを
胸に大切に、大切にしまいながら
最後の演奏会の本番を迎えた。
会場はほぼ満席で
たくさんの人でうめられていた。
知り合いがちらほら
観客席にまざっていて、
いつも以上に緊張してしまった。
指揮者がてをあげると同時に
私の心拍数ははねあがる……
123…
指揮者のてにあわせて心のなかで数えると
曲がはじまった。
いつも私の胸を高鳴らせるあの、
愛しい音は
今日はなぜか私を落ち着かせた。
あたたかい純くんの音に包まれているような
気持ちよい感覚。
けれどこの感覚を感じるのも残り少しな訳で…
わたしは少しだけ
泣きそうになった。