光と闇
ただ、男が小さくなっていくるのを眺めた。見えなくなってさえ、僕はそこから目を放すことが出来なかった。


頭の中が真っ白になった。
けれど、それを客観的に、冷静に眺める自分もいる。




僕は自分の思いを、行動で示せないほどの臆病なのだ。

彼女は雨を恐れずに、会いに来てくれていた。それを僕は、最初は偶然会えるのだと一人思い込んでいた。
しかしそれは、必然だったのだ。彼女自信が作り出してくれた僕にとっての幸せだったのだ。
彼女はこんなにも強いのに、それに気付くこともなく、僕はただ甘えていたのだ。
一体何をしてあげたのだろうか?
一体何をしたらいいのか?

愚かな自分を光が写し出した気がした。彼女ではなく、僕は自分が一番だったのだ。

涙が止まらなかった。

死にたくなる程、自分が嫌な生き物にしか思えなかった。





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