光と闇
気付くと、いつの間にか家にいた。しかもずぶ濡れだ。外をカーテンの隙間から見ると、地面に水溜りに映る青空が見えた。
どうやら無意識のうちに帰ってきたらしい。手にはあの、くしゃくしゃになった、紙が握られていた。
濡れていたが、破れたり、書かれたものが消えてはいなかった。



空は見事な青色――。
一瞬迷いがあったが、紙に描かれた地図を見て、僕は身なりも構わずに、家を飛び出した。


懐かしい道、知らぬ道、たくさんの道を走った。こんなに走るのは久々だった。思わず息が上がる。

走る度に、光が僕を刺す。皮膚を通り抜けて、体の何が痛いかも分からない。
しかしそんなのを構っている暇など無い。

前日の天気予報で、明日は雨だと言うのを見た。恐らく今日が会える最後だろう。直感的にそう思った。

どれくらい走ったかは分からないが、ようやく病院の前に着いた。
その壁は汚れて灰色になっており、所々に亀裂が走っている。見るからに古そうなのが分かった。それはまるで、彼女の明日を予感しているようだった。


僕は紙に記してある病室までゆっくりと歩いた。

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