光と闇
どれくらいたったのか分からない。突然彼女がふりむいた。

「どうしたの、おにい…」

僕らは目があった。
どうやら、僕のことをさっきの兄だと思っていたらしい。

大きな目をさらに大きくしたまま、固まってしまった。
よほど驚いたのだろう。

彼女はさっきまで泣いていたかのように、まるでうさぎのような、紅い目をしている。


沈黙が二人を包んだ。何か話さなければと思えば思うほど、何も思い浮かばない。

「…どうしてここが分かったんですか?」

やはり彼女から話しかけてくれた。

「君のお兄さんに聞いたんだ。」


「そうですか…あ、どうぞ、座ってください。」

勧められるままに、ベッドの脇にあったパイプイスに腰をかけた。

「どうしたんですか?!真っ赤じゃないですか!!!」

近くに来た僕を見ると、驚愕して、彼女は叫んだ。

僕は何も言えずに黙ってしまった。
彼女に言うべきなのだろうか。彼女は病気で、ここにいる。しかし、僕は病気ではない。
いや、本当は、僕が病院に行くことさえ恐ろしく、何もをしらないだけだから、どうなのかはわからない。
だか、今更どっちでもよかった。
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