光と闇
僕は今更気付いた。

何も彼女の事を知らない。住んでいるところも、年も名前さえも知らなかった。
話をしていた時には、時間通りに、あの場所に行けば、会えたから、特に聞く必要などなかったから、お互いに聞かなかった。

色々と彼女のことを知った気でいた自分に、苛立ちを覚えた。

彼女を探してみようかとも考えたが、それではただのストーカーになってしまうと思い、諦めた。



所詮は名前も知らないただの話し相手。
深入りなんてしなければよかったと、後悔した。こんなに突然別れが来るなら、こんなに切なく、そして悲しく、惨めになるなら、恋なんてしなければ良かった…
しかしその半面、僕をしあわせにしてくれた彼女に感謝の気持もあった。





僕はもう、どうすることも出来なかった。
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