小指心



「・・・一馬」

「ん・・・」

「今日は、一緒に帰って良いかな?」



「あぁ」




―――――――――――

ユニフォームから制服に着替えるのを待って、戻ってきた一馬に笑顔で言った。


「いこっか?」


私は久しぶりに一馬の手を握って、一緒に帰っていった。

「はぁ・・・なんだか私、今日は恥ずかしいことしちゃったなー」

「あんな必死な梓とか、あんまり見たことなかったからびっくりしたよ」

「だよねー」

今までの事、さっきの事。
お互いが知らなかったことをいっぱい話し合った。

「なんか、いままでの人生の中で・・・これが一番凄い告白だったな」

「あははっ」

前にした告白は、屋上に呼んでめっちゃ大きな声で『好きです』。
その次はデッカいチョコに『愛羅武勇』って描いた(というか飛鳥が勝手に描いちゃった)。

で、いまがこれ。

走りながらの公共の面前で(サッカー部員)の前で青春ドラマ風告白。
普通にありえないから、どうした私。


「いや、でも梓の告白が一番ググってきた」

「えー?本当にそれ?」

「ホントホント、俺多分生まれてからこの人生で10人ぐらいに告白されたけどつまんなかった」

「おま・・・人の告白をつまらんって!!」

「いやいやいや、梓のと比べたらどう考えても梓の勝ちだろ?」


・・・まぁ、そういうことにしといてやっても良いかな(誰)。


「だってみんな、下駄箱にラブレター入れるとか、裏庭に呼んで告白とか。そういうのって誰だってやるからつまんねーじゃん」

「私のと比べたら?」

「そう」


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