小指心
そういうと飛鳥は可愛く走っていった。

「・・・」

まだ生まれたばかりの小鳥みたい。
今から飛ぶ練習をする感じ。
飛鳥もこういうふうに旅立っていくのかなぁ?

あ、今うちの親の気持ちが分かった。

すっげー悲しい。

「私も頑張ろう」

飛鳥を見てると元気付けられる。
我ながら良い妹をもったもんだ、つい笑顔になってしまう。

なんでも出来そうな気がする。

―――――――――――


バタン


「ふー」

私はカバンをベッドに投げる。
なんかストレスが溜まってる、学生だからね。

クローゼットを勢い良く開けて一番のお気に入りのワンピースを取り出した。

大好きな音楽を流して、今までに無いほどのやる気を出す。

「さーやるぞー」



プルルルルッ



「!」

急に携帯が鳴り出した。

「(びっくりしたーぁ・・・)」

画面を見ると蓮くんからの電話だ。
・・・私は通話ボタンを強く押す、緊張してきた。

「もしもし」

『ぁ、梓ちゃん』

「どしたの?」

内心ドッキドキだ。
蓮くんと話すと手が震える、私はこれを『小山シンドローム』と名付けた(最悪のネーミングセンス)。

『あのさ、ちょっと大事な話なんだけど』

「うん」

ヤッベ、全部ネガティブな方向で考えてしまう。

この癖ホントに心拍数を無駄に上げる。
大丈夫、ポジティブに考えろっ。

< 197 / 250 >

この作品をシェア

pagetop