小指心





『・・・止めよう』





「・・・ぇ?」

一瞬にさっきまでの希望が消えた。
え、止めよう?

なにを?

「ぇ、え?な、にを?」

『僕達の関係、一週間お試し関係』



ドクン



「ぇ、なんで?」

『だって、梓ちゃん僕といても・・・楽しい?』

「そ、そりゃもちろ―――――」

『嘘』

ぇ、嘘?
なにに嘘付くの?

私、蓮くんの近くにいる嬉しいし楽しい。

なにも嘘付いてない。

ただ・・・彼氏彼女らしい事を『一つも』してないだけ。

「ほ、んとうだよっ!だって私、蓮くんの近くにいるとドキドキするしっ、しかもなんか・・・」

『・・・梓ちゃん』

「なに?」

『無理しなくて良いから』

「無理なんてっ・・・!」

無理?そんなの一切、してない。

私は蓮くんの近くに・・・いたい。
知らない感情が溢れ出す。

頭に浮かんで来る言葉、簡単なことばかりなのに。

口に出すのは難しい。

『だって今日梓ちゃん、僕のこと避けたでしょ・・・?』

「ぇ・・・?」

今日・・・今日。

避けた、あぁ避けたかも。

< 198 / 250 >

この作品をシェア

pagetop