小指心
私は指で数えた。

1、2、3、4・・・

「い、五日目」

もう五日目か、なんだか早かったな。
楽しい思い出が私を駆け巡る。

飛鳥は言う。

「その間になんか姉ちゃんの中で変わった事はあった?」

「・・・」

私の中で、変わった事。

一馬への気持ち、蓮くんへの気持ち。
二人とも私の中で少しずつ、違ってきた。

ユラユラ、ゆらゆら。

なにかが、生まれた。

「・・・気持ち」

「気持ち?」

「蓮くんと一馬の気持ち」

私の中の優先順位が、変わった。

「昔、私の一番は一馬で蓮くんは想定外だった」

「うん」

「でも・・・」

話して、こうして一緒にいる内に。
蓮くんが私をどう思って接してるのかが、分かってきて。

「心がすれ違って」

一番は、今じゃ蓮くんになっていて。

「お互いにも忘れてきて」

一馬が想定外になっていた。



「・・・蓮くんが当たり前になってた」



受け止める気持ちが大きくて、
我慢はちじんでいった。

「姉ちゃん」

飛鳥は一枚のティッシュを差し出した。

「・・・ぇ」

いつのまにか、最後の涙が頬に流れていた。

「もう大丈夫でしょ?」

「・・・」

あんなに情緒不安定だったのに。

今じゃ緊張の糸が切れてた。

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