小指心
「様乃ってロック派じゃなかったの?」

「なんで」

「だって、ルル花聴くなんて」

「なんか今の天気と合う曲持ってるの」

いや、それって答えになってない・・・

様乃は私に片方のイヤホンを渡した。
お、最新型。



ピピピッ



「これ」

「どれ?」

曲名を見ると。

「おいおい、まんまじゃん」

「いいから」

そういうと様乃は無理矢理私の耳にイヤホンを入れた。
そっちは違う方なのに。

私は入れ替えた。

「ていうか『狐の嫁入り』って・・・」

また都合のいい。

「シッ、いいから黙って」

「・・・」

優しいギターの音色が私の胸を暖めた。
その次にピアノ、緩いドラム。

―――――ルル花だ。

「・・・」



♪聞こえる程度に手で抑え
 天気はいい感じの黄昏で

 僕らは一生、離れないさ

 逃げても記憶は追ってきて
 寂しがりやの君も追ってくる

 

「っ!」

途中のサビから様乃が歌ってきた。
ルル花の高い声と様乃の低めの声が意外にもマッチする。

・・・甘い。

「・・・♪僕らは一緒、一生離れない・・・」

私もだんだん憶えてきた。
途中のコーラスから入る。

「・・・♪逃げても逃げても」

「♪僕らは一緒、一緒、一緒・・・」



「「一生離れない・・・」」



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