小指心
♪こっそり見た横顔
 なんだか泣きそうな予感
 いつも笑顔の君 
 この頃はご機嫌斜め

あー、Robinは良いね。
たまにはいつものロックもテンション上がる。

「♪手を差し伸べて・・・」

こっからギターソロ、最高、これは名曲だよ。

「・・・」

ふと頭に描かれたのは梓だった。
可愛い笑顔、いつものお団子。

私服は毎回レースで女の子って感じ。

「はぁ・・・」

強気で意地っ張りのくせして意外に純粋で。
正直に物事を言う。

親友としてはそんな梓が羨ましい。

「なーんで私、空手なんかやってんだろ」

たまに自分の正義感の強さを呪う。
男より強い女なんて、誰が付き合うっていうのさ。

「空手、止めようかなぁ・・・?」

そんで止めたらハープかなんか初めて、全国のハープコンテストを総なめ。
私を目指す選手達が後を絶たない・・・ってそれもなんかなぁ。

ちょっとそれも目指すところが違うしね。


♪世界は丸くて、性格はとがって
 君に本当を言えない
 
 どこにいても見つけるさ


「♪世界は丸くて、性格はと―――――」



つんつん



急に肩の方から変な感触が。
ち、痴漢・・・?!!

「テメェ、一体どこのどいつに手ぇ出してやがんだ・・・?!」

私はそいつの手を強く握って戦闘態勢に入った。

「ちょ、ちょっと!!違います!俺、決して変態じゃありませんっ!!」

「そういうやつほど変態なんだよっ」

「ち、ちょ・・・俺、内藤・一哉っていいます!!!」

「・・・『内藤』・・・?」

内藤って・・・一馬のこと?

「一馬?」

「ぇ、弟知ってるんですか?」

「お、弟?」

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