小指心
ぇ、一馬が弟?

こいつの?

内藤・一哉(ないとう・かずや)。

あ、苗字同じだ。

私はそいつに指を指した。
ぇ、こいつが一馬のお兄さん?

「か、一馬の兄ちゃん?」

「そ、兄貴」

「おいくつですか?」

「18歳です、もうすぐ大学受験」

ぇ、マジで。

あ、でも確かに面影はあるな。
黒髪で笑顔がどことなく優しい、なんか大人びてる。

「か、一哉さんっすか」

「はい」



ニコッ



うわ、笑顔が眩しい。
この人誰だ。

「で、なんか用っすか?」

「あ、そうそう」

一哉さんはリュックから一通の手紙を取り出した。
誰宛なんだろう。

「これ、信条・梓さんって人に届けてって言われたんですけど・・・住所が分かんなくって・・・知ってますか?」

ぇ、なに梓宛かよ。

「あ、はい私の親友ですから」

「ぇ、マジですか!!やったラッキー」

その人はまた笑顔で喜ぶ。
無邪気だなー。

「ていうかすぐそこですから、一緒に行きましょう」

「本当ですか!あ、ありがとう!!」



ドキッ



な、なんか。
今、一哉さんのとびっきりの笑顔にときめいた。

これは・・・なんか初めて感じる気分だ。

「ぇ、じゃあ行きましょうか」

「あ、はいっ」



この出会いで、何かが変わるなら。
私は全てを懸けてみようか。

知らないところで運命が変わるなら。



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