小指心
「・・・ねぇ、まだ起きてる」

「うん、さっき誰かさんが嫌な起こし方したから」

「ゴメンて(笑)」

「いやいや笑えないから」

目の前は天井、横には一馬。
暗い部屋、ドアが少し開いていてリビングの光が入ってくる。
クーラーはつけっぱなし、カーテンも開けっ放し。
紺色の空にはまばゆい光を放つ満月、セミは鳴き止み夏だと実感する。

「・・・夏だねぇ」

「だな・・・」

「そういやもうすぐ夏休みじゃん」

「・・・早いなぁ」

「私は高校1年生になって一馬は高校2年生かぁ」

「・・・だなぁ」

私は天井を見上げる。

「・・・おやすみ一馬」

「あぁ、おやすみ」

しばらくすると、私達の瞼は自然に閉じた。

―――――――――――

「ん~、おはよー・・・」

ベッドから起きると隣には一馬の姿がなかった。
リビングからスーパーマリオのテーマソングが聞こえる・・・

「飛鳥ー、一馬ー、朝っぱらからゲームですか奥さん方」

「おー、もうすぐ俺の勝ちー」

「ズルしたくせに、逆転勝ちしてやりますよっ」

「あっ!飛鳥ちゃーん、それはないでしょー?いっぺんにワリオとルイージ使うなんて」

「自分だって私のワリオ使ったじゃないですかー、あ、勝った」

「なああああぁぁぁぁっ!!?∑<(゚3゚;)>」

もう昨日やってこりごりしたんじゃなかったんかい・・・

「今何時ー・・・?」

「朝の8:30」

飛鳥はテレビ画面を見ながら言った、集中しすぎだよ。

「もう一回寝るわ・・・」

あくびをしながら私はまた自分の部屋に戻った。

「えー寝るのー?一緒にマリオしようよ、梓、意外と強いじゃん」

いや、確かに昔めっちゃはまったけど・・・

「まぁ私よりは弱いけどね、それでもって言うなら勝負してやっても良いよ」

・・・ブチ

「やってやろうじゃん、後で負けて泣いても知らないからね飛鳥」

< 26 / 250 >

この作品をシェア

pagetop