小指心

一週間の騒ぎ

南朋という人物の事、私はたっぷりあの後も聞かされた。
嬉しいんだかなんなんだかって気分。

「そんな人、なんで今頃帰って来るんだろう・・・」

そして一馬の私にたいする想いは、こういう形で出来たなんて思いもしなかった。

ぽつぽつぽつ

―――――雨がここのところ降り続けている。


 小指心
  一週間の騒ぎ


お風呂に入り終わった私は、部屋に戻って制服に着替えた。
まだ今は7:24、時間はたっぷり残っている。

「姉ちゃん、私のリボンしらなぁーい?」

「リボン?」

「制服のー」

「あー・・・こっちはないよ」

「どーしよー、私さっきから探しまわってるんだけど見つかんないんだよねー・・・」

飛鳥の声はリビングからだった。
親はまだベッドの中でスリーピング、昨日は仕事で夜中の3時に帰ってきたからだいぶ疲れている。

「飛鳥、じゃあ私の貸してあげる」

「っえ、良いの?」

「うん、私ネクタイがあるから」

「ありがとーっ!」

そういうと飛鳥はリボンをもって部屋に走り戻って行った。
私は最後のお団子ヘヤにとりかかっている、今日は可愛いお花のゴム。

「飛鳥、弁当は?」

「あー、リビング!」

ちょっち時間がない、私はお弁当をバッグに放り投げ歯ブラシを取った。

「姉ちゃん弁当パスッ」

「ほれっ」

「さんきゅ!」

「え、歯磨きは?」

「もうさっきしたっ、いってきまーす」

歯磨きを終わらし、タオルで口をふいた。
時間は・・・8:03、行かなきゃ。

「待って飛鳥、私も行くっ!」

「じゃあ早く来てっ!!」

この一週間、慌ただしい初日が『始まり』だった。

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