小指心
「えー同じクラスメイトになる事になった永島・南朋くんだ、前もこの学校に通っていたので友達もいるだろう。仲良くしてやれ」

「初めまして、永島・南朋です。・・・よろしくお願いしますっ」


あ、この笑顔。
―――――思い出した。


「じゃあ永島は、伊藤の隣に座れ」

「はい」

一瞬、南朋が私の隣を横切った。
揺れ動く薄茶色の柔らかい髪、ショートでくるんっとパーマが上下に動く。

変な感じだ、背筋に悪寒が走しる。

目の前に紙切れが落ちてきた、くしゃくしゃ。


『返してもらうから』


「・・・っ」

そこには可愛い字にも関わらず、何か威圧感を与える様な事が書いてあった。
返す?なにも借りた覚えはない。

私は後ろを振り向いた、凄く・・・強烈な怨念を南朋から感じとった。

「!」

南朋はこっちに気付いたみたいだ。

微笑むその笑顔が、怖い。
なにか起る、きっと私が想像してることよりも遥かに恐ろしい事が。

そんな予感を、私はずっとした。

―――――――――――

「小山・蓮です、よろしくお願いします」

この瞬間が来てしまった、きっとあっちのクラスには南朋がいるんだろう。
緊張はしないと思っていた、けどやっぱり本当に起ると心臓が止まる様だ。

「小山は・・・竹山の隣に座りなさい、そこからなら黒板も良く見えるでしょ」

「はい」

よりにもよって俺の斜め前か、偶然が重なってマイナスにした。
まぁ、災い転じて福となすとも言うからな。

そうこう考えていると蓮が俺の方に振り返った。

「よろしくね」

「あ、うん」

そんなことを言われても俺はあんまり、よろしくしたくない気分だけどな・・・

「では、授業を始めるっ!」

俺たちは教科書を開いた。

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