小指心
私は蓮くんを引き止めてまたソファに座らせた。
さっさと南朋のこと聞いて、家に帰ろう。

「・・・どう?学校初日、楽しかった?」

「うん、あ、いや・・・正直いろいろ大変だったな」

その『大変』の意味が少し分かった、というか確信した。

「あの、私のクラスに南朋って子が転校してきたんだけど・・・」

「え」

「それで、そのことなんだけど」

「ちょっと待って」

これからという時に蓮くんは話を止めた。

「・・・僕から、話して良いかな?」

「え、あ、うん」

確信、しきった。

―――――――――――

蓮くんは気まずい表情で話し始めた、それを私は真剣に聞いた。

「南朋さんと僕、付き合うことになったんだよ」

「うん、知ってる」

「ぇ、え?」

「直接、学校の後に裏庭に呼ばれて話は聞かせてもらった」

「え、じゃあ理由も・・・?」

「理由意外は、でも目的は知ってる」

今度は驚いていた、こんなに喜怒哀楽な蓮くんを見たのはちょっと・・・ないなぁ。
あ、私ひらめいたかも。

「私は蓮くんが知らないことを知っていて、蓮くんは私が知らないことを知っている・・・つーことは、これをちゃんと整理すれば分かるってことだよね」

私は一応持ってきたカバンから『暇つぶしノート』とペンを取り出した。
そして簡単に今の話を書き出した。

シャカシャカシャカシャカシャカ・・・

「つまりこういうことだ」

(レンくんとナオと私)

・ナオはレンくんとラブ(偽)
・目的は私から一馬を取り戻すこと=ナオは私がレンくんを好きだって思ってる
・=勘違い
・理由は

理由のところだけ空白だ、私は蓮くんの方に向いた。

「・・・付き合わないと梓ちゃんを―――――」

「え?」

さっきよりも気まずそうな顔をした。
・・・蓮くんが頭をかかえるなんて、生まれて初めて見た。

「・・・蓮くん、大丈夫。言って?」

「・・・梓ちゃんを、いじめるって」

私は書き足した。


・理由は→付き合わないと私をいじめる

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