小指心
「行こっ」

「うん」

私達はなるべく早足で何段もの階段をおりて行って、何室もの教室を通り過ぎて。
そして途中で別れた。

「んじゃ、またあとでね」

「あいよー」

―――――――――――

「おら信条っ!!遅いっ!!」

あー、あそこでイチャイチャしなかったらこうして怒られずにすんだのに。
しょうがないよね、状況も状況だったから。
本当、どうしようもないからねー。
今回は別に初めてじゃないし?
先生も、この手のことはもう慣れたでしょ。

「罰として廊下で立ってなさいっ!!」

・・・これは例外。

「なんでこーなるかな・・・」

私は大きなため息をいた、いや別にもうどうでも良いんだけどね。
つまらないから私は歌を口ずさんだ。

「〜・・・♪」



最新型のロケット乗って さぁ僕らはもう自由
何事もなかったようなふりして さぁ堂々と逃げてみよう

手を繋いで 運命を繋いで 全てを繋いで

君との人生もつなぎ止めよう



「先取り僕らは息を止めて、アァため息を止めー」

もうすぐ私の大好きなサビだ。
今は誰もいないから思いっきり歌ってしまおう。

「月は消えないで、僕らも消えないか―――――


「意外と梓ちゃん、歌上手いね」


「っ!!」

絶対誰も来ないと確信してたのに、まさか蓮くんが通るとは。
しかも思いっきり聴かれたっ。

「うをっ!蓮くんだっ!!なぜココにっ!!?」

「ちょっと保健室に」

「え、授業の真っ最中に保健室っ!!?」

「うん、たいしたことじゃないんだけどさ。急にフラフラしちゃって」

確かに少しフラついている、これじゃあまともに歩けない。
私はすぐさま蓮くんの腕を私の肩に回した。

「ちょ、梓ちゃん?」
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