小指心

仮病も涙も

梓は俺にとって最高の贈り物で、最高の彼女。
いつも俺の隣にいてくれて、心が繋がってて。

なんだか血が繋がった兄妹のように感じた。

君と出会えたことに嬉しさを憶え、大きな勇気を貰った。
でも、それを俺は君に恩をあだで返してしまうんだね。

だけどこれは君と俺のためなんだ。


 小指心
  仮病も涙も


「・・・」

梓は今日、来ていないみたいだ。

「ねぇ一馬ぁー、一緒にランチ食べよー」

「・・・あぁ」

―――――――――――


二日前、俺と南朋は偶然家路の前で会った。


『かーずーまっ』

『あ?』

『もー、そんなに怖い返事しないでよっ!ちょっと話があるの』

『なんだよ』



『私、小山くんと別れたから―――――付き合って!』



『意味不明、断ります』

『ひどいなー、付き合ってよー』

『何言ってんだよ、俺には梓がいることぐらい分かってんだろ』

『・・・』

『じゃあ俺は帰―――――


グイッ


『・・・付き合ってよ』

『離せよ』

『嫌だ』

『南朋っ!』

『なんで梓なわけっ!?あんなチビ・・・意味分かんないっ!!』
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