The World
 私は、とんだチキンだ。
早足で向かったものの、直接保健室へ行く事が何だか出来なくて、外から来てしまった。

色とりどりだった秋景色は、もうすっかり色をなくして、庭と言うよりも荒野みたいだ。
寂しい景色が震えを誘う。

雑草が枯れて露になった土を踏み、恐る恐る窓から部屋の中を覗いた。


見惚れるような立ち姿に、一気に顔が火照ってしまう。

どうして、こうも絵になるのだろう。


一目見れたは嬉しいけれど、どうやら先客がいたようで、先生が私に気付く様子はない。

先生は難しい顔をしたまま、ストーブの近くで蹲る女子生徒の肩に毛布を掛けてあげた。
何やら話しているけれど、外にいる私には何て言っているか聞こえない。

私はただの部外者だ。
先生も、何だか私の知っている先生じゃないみたいで、急に寂しくなった。
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