The World
○ ため息 -the last day-
――終わる。
安っぽいマイクを通した声が止み、太った男は一歩下がって礼をした。
「卒業生、退場」
アナウンスがそう告げると同時に、音楽が流れ出した。湿っぽい音楽。
一番最初のクラスが立ち上がると、拍手がちらほらと聞こえ始め、次第に大きくなった。すぐにそれはBGMと同化してしまった。
隣の生徒はぐすぐすと鼻を鳴らしている。隣の生徒だけじゃない。過半数がそうだった。
その中で、私の目は一際淡々としていたかもしれない。
胸に飾り付けたコサージュも、綺麗にセットした髪も、どこか虚しい。こんな気持ちでここに立つ私には不似合いだった。
早く式が終わってほしい。終わってほしいのに、終わる事が怖い。そんな気持ちが心の片隅にある。
最初から四つ目のクラスが読み上げられ、私は席を立った。
安っぽいマイクを通した声が止み、太った男は一歩下がって礼をした。
「卒業生、退場」
アナウンスがそう告げると同時に、音楽が流れ出した。湿っぽい音楽。
一番最初のクラスが立ち上がると、拍手がちらほらと聞こえ始め、次第に大きくなった。すぐにそれはBGMと同化してしまった。
隣の生徒はぐすぐすと鼻を鳴らしている。隣の生徒だけじゃない。過半数がそうだった。
その中で、私の目は一際淡々としていたかもしれない。
胸に飾り付けたコサージュも、綺麗にセットした髪も、どこか虚しい。こんな気持ちでここに立つ私には不似合いだった。
早く式が終わってほしい。終わってほしいのに、終わる事が怖い。そんな気持ちが心の片隅にある。
最初から四つ目のクラスが読み上げられ、私は席を立った。